第4回「中心軸をつくる」(2020/2/8)

第4回真我の会~活動報告


真我の会の第4回目の集いが2月8日(土)に開催されました。
今回の参加人数は3名と少なかったのですが、じっくりと語り合える会となりました。

対人恐怖が治ると「中心軸」ができる
第4回のテーマは「中心軸をつくる」でした。
対人恐怖が治ると、自分がどのように変わるのか。その感覚を一言で表したのが、こ
の「中心軸」という言葉です。
対人恐怖に苦しんでいる時というのは、自分の中に中心というものがなく、他人の思
惑にいつも心がグラグラ揺れ動いています。
一方、対人恐怖が治ると、自分の中にしっかりとした動かない「中心軸」ができます。
その「中心軸」は、「~したい」という強い思い(意志)のエネルギーでできてお
り、それを森田先生は「生の欲望」と言われました。
この思いのエネルギーが強ければ強いほど、心の中にしっかりとした中心軸がつくら
れ、自己中心的なとらわれからくる恐怖心を跳ね返すことができるようになります。
対人恐怖に苦しむ人たちは皆、「完全欲が強い」という神経質の特徴を持っています。
つまり、もともと強い思いのエネルギーを潜在的に持っている(だからこそ対人恐怖
にもなるわけですが)のですが、とらわれている時にはそのエネルギーが眠ったまま
の状態になっています。
森田療法とは、まさにこの「~したい」という強い思いのエネルギーを患者から引き
出すことにより、神経症者の中に眠っている力を開花させることを狙った療法である
と言えます。


「中心軸をつくる」ワークシートへの取り組み
集いでは、「中心軸をつくる」ためのワークシートに取り組みました。
まず、48の「~したい」という言葉の中から、自分が最も強く心に響く言葉を探し、
神経質の特徴(誠実さ、真面目さ、献身、共感力など)と重ね合せながら、自分の心
の中に眠っている強い思い、願いを自らに尋ねました
次に、「~したい」の対象となるのは誰か(何か)を考え、「私は〇〇を~したい」
という形で、それぞれが願いを言葉にしました。
さらに、次のステップでは、対人恐怖の症状が最もよく現れる環境(職場など)の中
で、自分が願っていることを同じように掘り下げていき、その願いが「私は〇〇を~
したい」という先の願いと一致しているかどうかを確認しました。
一致している場合には、その願いが対人恐怖を乗り越えるための中心軸となります。
対人恐怖の症状が出たら、いつもその願いに立ち戻り、症状に負けずにその願いに従
って行動することが大切となります。それが、第2回目にやった「目的本位に生き
る」ということにつながっていきます。
私はこの二つの願いが一致しませんでしたが、参加されたお二人とも職場での願いと
本来の願いが一致しました。ただ、三人とも、「社会的弱者」の役に立ちたい、支え
たい、助けたいという願い、弱者に対する思いを抱いている点は共通していました。
対人恐怖の人は、自分が恐れと不安に苦しんできたからこそ、人の弱さや悲しみに深
く共感することができます。だからこそ、「弱者の力になりたい」「弱者を支えた
い」という願いを持つようになるのです。
その願いを果たすことと対人恐怖を乗り越えることは、実は一つであると思います。
自らが対人恐怖を乗り越える体験をしてはじめて、弱者に希望を示すことができるか
らです。
対人恐怖を克服することは、自分のためであると同時に、同じ苦しみを背負う方々の
ためであると思います。